●サルコペニアとは

●サルコペニアとは

年をとるにつれて筋肉が衰える現象を「サルコペニア」と言います。サルコペニアは、①両手足の筋肉量、②握力、③歩行速度の3つの指標で判断します。筋肉の衰えは、栄養不足、転倒・骨折、認知症になるリスクを高め、要介護状態へとつながっていきます。

2016年10月、国際疾病分類に「サルコペニア」が登録されたため、現在ではは疾患に位置付けられています。サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり転倒しやすくなったります。
 
サルコペニアは、1989年にアメリカの学術雑誌ではじめて提唱された言葉で、ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx/sarco)=筋肉」と喪失を意味する「ペニア(penia)=喪失」を合わせた造語です。主に加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下し、身体能力が低下した状態と定義されており、「加齢性筋肉減弱現象」とも呼ばれています。

(出典:東京大学高齢社会総合研究機構飯島研究室「フレイルを知ろう」)

 
【サルコペニアの評価基準】 以下のうち、1と2もしくは3のどちらかに該当すると、サルコペニアの可能性が疑われます。
1.筋肉量の低下
BMI値が18.5未満
 
もしくは下腿範囲が男性34cm未満、女性33cm未満
2.握力の低下
握力が男性28kg未満、女性18kg未満
3.歩行速度の低下
歩行速度が1.0m/秒以下
表:AWGS2019基準値

●フレイルとは

●フレイルとは

フレイルとは、病気ではないけれど加齢に伴って身体の予備能力が低下し、健常から要介護へ移行する中間の段階と言われています。
日本老年医学会が2014年5月に提唱しました。
脳疾患などの疾病や転倒などの事故により、健常な状態から突然要介護状態に移行することもありますが、高齢者の多くの場合、フレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられています。
サルコペニアやロコモティブシンドロームは、身体的要素のみに着目した概念で身体機能のみが低下した状態を指します。
それに対してフレイルは、心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態をいい、複合的な要素を含み、より包括的に広くとらえた概念といえます。

出典:東京大学高齢社会総合研究機構「フレイルを予防して健康寿命をのばしましょう」

フレイルの症状は次の4つに分類されます。

身体的フレイル

運動器の障害により、立ち上がりや歩行などの日常生活に影響を及ぼします。
 

精神・心理的フレイル

軽度認知障害や認知症、うつなどがあげられます。
 

オーラルフレイル

オーラルフレイルは、口腔機能の低下や食の偏りを含む身体の衰えのことです。
口腔機能の低下に伴って、低栄養状態になってしまうことがあります。
 

社会的フレイル

社会的に他者とのつながりがなくなることで、社会的フレイルが起きます。
特に退職後は在宅時間が多くなり、自宅に閉じこもりがちになることが特徴です。
コミュニケーションの機会が減少するため、活力を失ってしまうことも考えられます。
【フレイルの評価基準】
フレイルについて、統一された評価基準はありませんが、日本では日本版CHS 基準が提唱されています。
以下の5項目のうち、1〜2項目に該当する場合はプレフレイル、3項目以上に該当すればフレイルとされます。
体重減少
6ヵ月で、2〜3kg以上の体重減少
筋力低下
握力:男性<26kg、女性<18kg
疲労感
(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度
通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動
①軽い運動・体操をしていますか?
 
②定期的な運動・スポーツをしていますか?
 
上記の2つのいずれにも「1週間に1度もしていない」と回答
表:改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)1)(Satake S and Arai H. Geriatr Gerontol Int. 2020; 20(10): 992-993)
 
      0項目  :健常、
1〜2項目  :プレフレイル、
3項目以上:フレイル

●フレイルの予防法

●フレイルの予防法

東京大学高齢社会総合研究機構が平成24年度から平成26年度まで実施した「栄養とからだの健康増進調査」では、フレイル対策をして健康長寿を実現するために大切な3つのポイントが見えてきました。
毎日いきいきと健康的な生活を送っていくためには、「しっかり噛んで、しっかり食べること」、「運動をすること」、「社会参加をすること」をバランスよく実践することが非常に大切であることがわかりました。

出典:東京大学高齢社会総合研究機構「フレイルを予防して健康寿命をのばしましょう」

●フレイルチェックしてみましょう!

●フレイルチェックしてみましょう!

フレイルの兆候があるかどうか、指輪っかテストとイレブンチェック(栄養や運動、社会性などを評価できる11の項目)をやってみましょう。
出典:東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授「フレイル予防ハンドブック」

出典:東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授「フレイル予防ハンドブック」

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