フレイルとは
フレイルとは、加齢に伴って身体の予備能力が低下し、健常から要介護へ移行する中間の段階と言われています。
病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のことです。
脳疾患などの疾病や転倒などの事故により、健常な状態から突然要介護状態に移行することもありますが、高齢者の多くの場合、フレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられています。
フレイルは身体機能の低下以外に、精神機能や社会性の低下などの項目が含まれており、大きな概念といえます。日本老年医学会が2014年5月に提唱しました。
それに対してサルコペニアやロコモティブシンドロームは身体的要素のみに着目した概念で身体機能のみが低下した状態を指します。
(出典:東京大学高齢社会総合研究機構「フレイルを予防して健康寿命をのばしましょう」)
以下の5項目のうち、1〜2項目に該当する場合はプレフレイル、3項目以上に該当すればフレイルとされます。
【評価基準】
体重減少 | 6ヵ月で、2〜3kg以上の体重減少 |
筋力低下 | 握力:男性<26kg、女性<18kg |
疲労感 | (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする |
歩行速度 | 通常歩行速度<1.0m/秒 |
身体活動 | ①軽い運動・体操をしていますか? ②定期的な運動・スポーツをしていますか? 上記の2つのいずれにも「1週間に1度もしていない」と回答 |
表:改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)1)(Satake S and Arai H. Geriatr Gerontol Int. 2020; 20(10): 992-993)
0項目:健常、
1〜2項目:プレフレイル、
3項目以上:フレイル
サルコペニアとは
サルコペニアとは、筋肉量が減少することで筋力や身体機能が低下する状態です。
サルコペニアは、体の機能障害や転倒などのリスク要因になり得ます。
サルコペニア
サルコペニアの判断基準は、「筋肉量の減少」や「筋力の低下」、「歩行速度の低下」の3つとされています。
以下のうち、1と2もしくは3のどちらかに該当すると、サルコペニアの可能性が疑われます。
【サルコペニアの評価基準】
1.筋肉量の低下 | BMI値が18.5未満 もしくは下腿範囲が男性34cm未満、女性33cm未満 |
2.握力の低下 | 握力が男性28kg未満、女性18kg未満 |
3.歩行速度の低下 | 歩行速度が1.0m/秒以下 |
サルコペニアの原因
サルコペニアは一次性と二次性に分類されます。
2つの原因について詳しくご説明します。
一次性サルコペニア
一次性サルコペニアは、加齢以外に明らかな原因がないものを指します。
二次性サルコペニア
二次性サルコペニアの原因として、以下の3つをご説明します。
【生活活動量の低下】
不活発な生活習慣や寝たきり状態、体調不良などによる生活活動量の低下が原因です。
【病気】
心臓や脳などの重症臓器不全、悪性腫瘍、炎症性疾患に付随するものが原因です。
【不摂生による栄養不足】
消化管疾患や吸収不良、食欲不振を引き起こす薬剤の使用などにより、タンパク質などの摂取エネルギーが不足することが原因です。